柔道整復師として現場で幾度となく使ってきた氷嚢の上手で効果的な使い方を解説します。
注意)主眼は日常生活やスポーツの中で予期せず起きた怪我に置いています。解熱や熱中症予防に対する方法は含みません。
氷嚢の基本
役割と効果
一般的には写真1のような外観をしており、スポーツ店やドラッグストアで販売されています。
袋部分の生地は簡単に破れないように作られていますが、氷水の冷気はすぐに伝わってきます。
氷嚢内の氷は簡単には溶けないので、0℃近い温度での冷却効果を長時間発揮できます。
冷却・アイシングが必要な場面
- 捻挫した関節、
- 衝突で打撲した関節や筋肉、
- 投球や長距離走などで局所に負荷のかかる繰り返し運動をした後の筋肉。
応急処置の重要性
捻ったり打ちつけた関節・筋肉をそのままにしておくと、患部が(発熱、腫れなどを伴い)痛みだします。
冷却・アイシングは、発痛を未然に防ぐ、または痛みを軽くするために、すぐに行える効果的な応急処置です。
氷嚢の選び方
氷嚢のサイズとそれに適した体の部位
内容量別にS、M、Lの3サイズが一般的に販売されています。
手指、手首、足首、足の甲や指
上腕、前腕、肘、肩関節、太もも、膝関節、ふくらはぎ、すね
背中、腰、お尻
氷のサイズ
一般的な家庭用冷蔵冷凍庫で作る氷のサイズが用意しやすく適しています。
アイスドリンクに入れるような、小さく砕いた氷も大丈夫です。
反対に、コンビニで売られているロックアイスのような氷は大きすぎて不向きです。
氷嚢の作り方
氷と水の量と割合が大切になります。
氷嚢の半分ほどに氷を入れます。
氷の隙間を水で埋めるように足していく。
- 水量が適切
-
体の曲線にフィットさせやすく、かつ氷の温度で効果的に冷却できる。
- 水量が多い
-
氷の温度が水を冷やすのに費やされ、患部を冷やすことができない。
- 水量が少ない
-
体の曲線にフィットさせにくく、冷やしていない場所ができてしまう。
アイシングの正しい方法
効果的なタイミング
捻挫・打撲の発生、繰り返し運動終了から数分〜10分以内が効果的です。
時間が経過しすぎるとアイシングによる痛みの軽減効果がなくなります。
冷却・アイシング時間
おおよそ5分が目安です。
- 氷嚢の冷たさが感じられなくなり、
- アイシングで冷やしている患部が赤くなっている、
5分ほど冷やしたところで2つの条件を満たしていればアイシングは終了です。
注意事項
冷却・アイシング時間を伸ばさないこと。
0℃以下に冷やされることもないので、時間を守れば凍傷になることもありません。
番外編
番外編として手に入れることのできる以下のものについて少し解説します。
保冷剤
保冷剤を使ってアイシングすることもできます。ただし、保冷剤の冷却効果は氷水より強いので、患部に直接当てることはしないでください。
タオル1〜2枚分を保冷剤と患部の間に挟んでアイシングしてください。
ドライアイス
ドライアイスは温度が低すぎるので、体の冷却・アイシングに使用できません。