ストレッチで得られる効果といえば、関節が柔らかくなるイメージですが、胸筋のストレッチ効果はそれだけではありません。
胸筋ストレッチで得られる二つの効果
- 姿勢改善
- 呼吸改善
姿勢改善
俯き加減で手元作業をたくさんこなす人は、ついつい背中が丸まりがちです。そんな姿勢が癖づいてしまうと直立の姿勢で前方を見る時も背中は丸いままになります。
猫背のような不良姿勢を改善し、背中はまっすぐ、胸を張った綺麗な姿勢を取り戻します。
呼吸改善
同時に背中が丸まった姿勢では一回の呼吸で肺が十分に膨らまず取り込む空気の量が減ります。そうすると息苦しさを感じたり呼吸が浅く早くなります。
姿勢を良くすることで、肋骨内の空間と肺が膨らみやすくなり、息苦しさ、呼吸の浅さ・早さが改善されます。
胸筋は2種類
胸筋には2種類、大胸筋と小胸筋があります。
大胸筋
マッチョの人がピクピク動かす筋肉ですね。
小胸筋
大胸筋の下にあるので、直接場所を確認したり触れることはできません。
大胸筋と小胸筋は、それぞれの停止の場所が上腕骨と肩甲骨で異なっていて、違う働きをします。
大胸筋に力が入ると
上腕骨が動く小胸筋に力が入ると
肩甲骨が動くストレッチの方法
- 大胸筋のストレッチ 肋骨と上腕骨の距離をできるだけ離すこと
- 小胸筋のストレッチ 肋骨と肩甲骨の距離をできるだけ離すこと
この2点を意識する。
※ウェブサイト「イラストAC」りばおる氏のイラストより(図.1〜4)
床を使って胸筋のストレッチ
まず床にうつ伏せになり、伸ばしたい側の胸が下になるように上半身だけ捻るように起こします。
このとき図.7のような位置に肩とひじを置きます。
肩関節が床から持ち上がらないように気をつけながら
胸を腕から離すように前に出し
同時に上半身を起こします
肩を挙げる角度もちょっとずつずらしながらステップ1〜3を繰り返します
床を使った胸筋ストレッチのコツ
- ステップ3で…
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顔を天井に向けるだけで図.6中の1番、3番の動作の補助になります。
- ステップ4で…
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ひじを頭の方に移動させると胸筋の下部がストレッチされます。
逆にひじをお尻の方に移動させると胸筋の上部がストレッチされます。
普段よく取る姿勢によって胸筋の凝り固まる部位も変わってくるので、伸ばされている感覚が強いひじの位置を探しましょう。
横になるだけの床がないとき
横になるだけの床面積が用意できない場合、壁を使ってストレッチできます。
手順は床で行うストレッチと同じです。
私見になりますが、
壁を使ってストレッチをする場合、上記ステップ2、3で下半身の姿勢や力加減にも気を配ることになると考えます。
さらに胸を開こうと上半身を捻ると、肩関節を守るため反射的に胸筋に力が入ってしまう可能性も考えられます。
床を使うと、下半身は使わず上半身の重みだけで胸を開くことがでます。
意識は、胸筋が伸ばされているかどうかに集中できるのです。
胸筋ストレッチが姿勢改善、呼吸改善につながる理由
前後に姿勢が悪い時は前面と後面の両方、左右に姿勢が悪い時は左側と右側の両方どちらもケアしなければ効果は上がりません。
猫背のような前後に姿勢が悪い場合は背中側の筋肉を「疲労回復+機能強化」するだけより、縮こまった前面の胸の筋肉も併せて機能回復する方がより高効率で姿勢を改善できます。
また胸筋(特に小胸筋)はいくつかある呼吸補助筋の一つに数えられています。主たる呼吸筋は肋間筋と横隔膜ですが、それらの働きを補助するための筋肉が呼吸補助筋です。
胸筋の伸縮性を取り戻せば、呼吸のために動作する筋肉が増えることになります。結果として肺はより大きく膨らんで一度にたくさんの空気を吸い、吐き出すこともできるようになります。