肩甲骨をほぐす理由
肩甲骨は上腕骨と共に肩関節を作っており、腕の動作に関わる重要な骨です。
手元作業を行なう場合、手や腕を体の前方に出し作業中はこの姿勢を取り続けます(図.1、図.2)。そのとき肩甲骨の位置もほぼ固定されています。
これらの姿勢をとっている間は休むことなく、肩甲骨を固定するために、肩甲骨周りの筋肉は力を出し続けます。
手元作業の姿勢が数時間にわたって続くと、肩甲骨周りの筋肉は固定するだけの力を出すのにも疲れてしまいます。
筋肉が伸縮しないので血流は滞り、疲労物質が筋肉内に蓄積され、背中や肩に辛さや張り・凝りを感じるようになります。
肩甲骨を取り巻く筋肉。ぜひともほぐしたい筋肉とは?
肩甲骨を取り巻く筋肉にも様々な筋肉があります。
その中で手元作業の時間中ずっと肩甲骨を固定し続け、疲労が溜まりやすい筋肉がいくつかあります。
ぜひ、ほぐしたい筋肉はこの3つ。
- 肩甲挙筋
- 菱形筋(大菱形筋+小菱形筋)
- 僧帽筋
これらは肩甲骨の位置や動きを決めるのに重要な筋肉で、伸縮性・柔軟性が低下して機能が低下すると腕の可動域も狭くなります。いずれも背中側の浅いところにあるので、体表面からの刺激でほぐしやすい筋肉です。
肩甲骨をほぐす二つの方法
セルフケア
セルフケアで効果を高めたいときは道具を使うことをお勧めします。
テニスボールや、別の記事ですでに紹介している市販のマッサージグッズ「やわこ」があると良いでしょう。ゴルフボールは大きさが足りません。
テニスボールや別記事で紹介したマッサージグッズ「やわこ」が適当です。
ゴルフボールは小さすぎます。
軽くバンザイの形に腕を広げます。
ひじは曲がっていて構いません。
扇を開閉するように肩の角度を変えてみてください。
脚の力で上半身を前後させ、道具の当たる場所を背骨に沿って移動させてみましょう。
体が慣れない間は痛いかもしれませんが、次第に「痛、気持ちいい」感覚になり筋肉がほぐされていきます。
ボールや道具を体の下に敷いてふらつかなくなったら、
手を床と背中の隙間に入れてみましょう。
床と背中の隙間に差し込んだ手を、図4左の女性のように、頭の方へ近づけてみてください。
何度かのセルフケアで肩甲骨が浮き出ないようでも、数週間かけて根気よく続けていると肩甲骨が浮き出るようになります。
また、球形ではなくて円柱形の、市販されているストレッチローラーも利用できます。
ローラーを背中に敷いたまま扇を開閉するように肩の角度を動かしていると、ローラーに当たっていない肩甲骨が自由に動きます。
同時に、ローラーが左右の肩甲骨間にある筋肉を刺激してくれて、肩甲骨周りがほぐされます。
「肩甲骨ほぐし」のサービス
リラクゼーション店、マッサージ店などの看板で最近はよく肩甲骨の文言をよく見かけます。
これらのサービスも肩こり、首こりの解消や姿勢の改善を図るのに肩甲骨周辺をほぐしましょう、という趣旨のはずです。
私が整骨院で施術をしていた時、患者さんには図.8の姿勢になってもらい、肩甲骨ほぐしをしていました。
手を背中側に回すと骨格の構造的に肩甲骨は浮き出やすくなるのですが、凝り固まっていると肩甲骨は浮いて出てきません。
施術者の私は、肩甲骨と肋骨のわずかな隙間に手指を差し込み、文字通り肩甲骨を体から剥がすように持ち上げて筋肉をほぐします。
最後に
セルフケアだとコツがつかめないうちは効果を実感しにくいものの、自宅など気楽な場所で好きなだけ時間をかけてほぐすことができます。
柔道整復師の私も、今、長時間のデスクワークで肩甲骨周りが辛くなった時は「やわこ」の上に寝て背中の筋肉をほぐしています。
セルフケアでもこまめに続けることで私の肩甲骨は浮き出る状態が維持できています。
セルフケアだとコツを掴むまでに時間がかかるかもしれませんが、ぜひ挑戦してみてください! クセになりますよ。